がんばれ営業マン!

日記

息子が大学を卒業して健康器具販売会社に就職した。
これから発展しそうな会社で売り上げも順調に上がってる模様。
本人は営業職としてヤル気満々なのだが空回りしないか少々不安である。
4月後半より約半年間、地方で健康器具の販売活動をおこなってるが、現在まで毎日チラシを持って飛び込み営業をしてるらしい。先輩社員は大型スーパーの特設会場で来店してくる見込み客に対しての販売なんだそうだ。会社の営業方法はいろいろあるので口出ししないようにしているが商品を売る方法として飛び込みが適切かどうかちょっと考える。

私は三十数年前に友人のすすめで自動車メーカーから損害保険会社に転職をした。
自動車メーカーにいたときは営業とは縁遠いエンジニア系だったのでお客様に頭を下げる営業ってやったことがなかった。
そんな私を迎えてくれた当時の営業所所長は入社初日に
「営業行って保険を売るなんてやめろ。最初に売るのは自分なんだぞ。」
「金儲けよりも人儲けを考えなさい」
「最初の1年間の営業成績は私(所長)が何とかするから、お客さんと仲良くすることだけでいい」
「ただし、保険のことはもちろんだけど世間で騒がれてるニュースや旬な話題には敏感になり常に情報武装は怠らないように。たくさん新聞を読むように」
と言われたのを今でも覚えてる。
私は言われるままを実行し新聞・雑誌・テレビ・ラジオ、本業である保険約款を駆使して情報武装に励み、昼間は指定された企業に訪問。私の訪問先はすべて所長があたためてきた中小企業の見込み客だった。所長の知り合いだからアポイントをとるのは容易だった。が、行ってみると何を話していいか分からない。何も話せないから滞在時間も短く、先方の社長も面白くない様子。そんな日の繰り返しで段々と行きたくなくなってきた頃を見計らったかのように、所長から
「今日は一緒に行こう」
と声をかけてもらい同行させてもらった。
まず驚いたのは、所長と訪問先の社長が昔からの知り合い?って思わせる程とても仲が良くかったこと。そして世間話でも社長の趣味の話や業界の裏話などで、そばで聞いてる私まで聞き入ってしまうほどの情報量。そんな感じで小一時間話してると先方の社長から「で今日は何しに来たの?」と聞かれて初めて保険の話を切りだした。
これが所長が言ってた営業方法なんだと分かった瞬間、感動というか何とも表現し難いけど、全身に電気が走ったような衝撃だったのを覚えてる。
自分から売りに行かず、先方から何を売りに来たの?と言わせる営業力を勉強させられた私は入社時に言われた「金儲けより人儲け」の意味がわかった瞬間でもあった。
これをきっかけに、それまで以上の情報武装とフットワークを意識した営業で1年後にその地域の売り上げ(保険会社の売り上げは収入保険料)トップになり表彰されたのは自慢のひとつである(笑)
今は他に御縁があって保険業界からは引退したが、営業方法は変わっていない。

そんな経験をしてきた私が息子の飛び込み営業を見ながら考える。
飛び込み営業は無駄かというと全てが無駄ではないと思う。
初めての家を訪問して、どんな話題で切り出したらいいか作戦を練る。初めてのお客様に会えた時のコミュニケーション能力は今後の営業マンにとってプラスになると思う。
ただ会社がそこまで考えて飛び込み営業させてるのかどうか?
単に
「根性つけろ!」
って超昔の営業マンの発想なのか?
しばらく営業しながら息子が気づいてくれたらいいのだが。

たまにウチの会社にくる営業マンには営業方法のひとつとして私の経験を話してあげるけど、なかなか今の会社には余裕が無いようでガツガツと商品を売り込んでくる。仕方なくお付き合いしてあげることはあるけれど、そんな営業マンの多くが会社を辞めてしまい後任の担当というのが現れる。
なが~い間、人と人との付き合いができる営業マンが現れないかな~。
と最近の想いである。

タイトルとURLをコピーしました